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第11部分

杀意的定时炸弹北阿尔卑斯涸沢山杀人事件(日文版)-第11部分


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「それじゃ、今から電話するの?」
「いえ、警察へは電話しないつもりです」
「警察に連絡しないって、それは又、どうして?」

 俺は前夜、耍麤g殺しの犯人である深山と会った事を小山に話した。

「そうかぁ。それで警察へ電話しないなんて言ったのか。でも、漢波羅君。一度は警察が事故として処理した案件を、折角、手間暇(てまひま)掛けて覆(くつがえ)し、殺人だったと突き止めたのに、君は本当にそれでいいのかい? 後悔しないか?」
「ええ、後悔なんてしていません。これで、いいんです???」
「そうかぁ。君がそう決めたのなら、もう、僕は何も言わないよ。この事は日の目を見ずに終わってしまうけど、漢波羅君、本当に長い間お疲れ様」
「小山さん???ありがとうございます???」

 その晩、俺は久しぶりに木村未来と夕食を共にした。

「響資さんの身に何も無くて、本当に良かったぁ???」
「ン?」
「だって、深山係長が耍麤g課長殺しの犯人だった訳でしょ? その深山係長に響資さんが会うって言い出すんだもの。今だから言うけど、本当は私、気が気じゃなかったんですからね。ひょっとしたら、響資さんが深山係長に殺されちゃうんじゃないかって、それはもう心配したんですから???」
「ゴメン、ゴメン。でも、こうしてちゃんと足もあるし、幽霊なんかじゃ無いよ」
「それで、深山係長は逮捕されたんですか?」
「エッ、どうして?」
「どうしてって???響資さん、耍麤g課長殺しの犯人は深山係長ですって警察に知らせたんでしょ?」
「いや、俺は警察へは話していないよ」
「じゃ、何でなんだろう???深山係長、今日、何の連絡もよこさずに会社を休んだんですよ」
「エッ? それ本当?」
「ええ。他の人が気になって、深山係長の家や携帯電話へも電話掛けたんだけど、電話にも全然出なくって。だから、私てっきり逮捕されたとばかり思っていたんですよ???」

 深山は、俺が彼女と会った翌日も、その又、翌日もヌ佶毳些‘グへは出社しなかった。

「深山は一体どこへ消えてしまったのだろう?」

 10月23日の夜、ホテルグランドハイアット枺─腔幛盲繒r、深山は耍麤g殺しを認めた上で、俺にこう言った。

「僕なりに責任は取るつもりです」

と。その深山が俺達の前から忽然と姿を消した。

 ──深山が姿を消して一週間後、10月31日、土曜日、午前8時。

 俺は今日、木村未来と午前10時、渋谷駅待ち合わせで、デ趣渭s束をしている。

 昨日から家族は皆旅行へと出掛け、他に誰もいないリビングで、モ衰螗哎畅‘ヒ蝻嫟撙胜闀r間潰(つぶ)しに新聞を広げていた俺の目に、小さな一つの記事が飛び込んできた。

「北アルプス罚Ц哌B峰で男性滑落 二人死亡
 【岐阜】岐阜?長野県境の北アルプス罚Ц哌B峰ジャンダルム(標高3163メ去耄─槟行预浃筏郡鹊巧秸撙樯叫∥荬蛲à袱110番があり、奥飛騨署と山岳救助隊が30日午後、現地へ救助に向かい、滑落男性の死亡を確認した。亡くなったのは枺┒夹滤耷紊钌矫鞣颏丹螅36)と長野県松本市の北村康隆さん(32)。二人は28日に上高地から入山、30日は奥罚Ц咴坤槲鞣'高岳へ縦走予定だった。現場は北アルプスでも屈指の難ル趣趣丹臁⒄‘って滑落したものと見られている。」
「摺Γ ·长欷蠜Qして滑落事故なんかじゃない???」

 これが深山が言っていた責任の取り方だったのだろうか? だとしたら、あまりにも悲しすぎる結末だ。でも、深山も北村も本望(ほんもう)だったのかも知れない。何故なら、これで漸(ようや)く節子と再会出来るのだから???

 俺は、そう自分に言い聞かせると、木村未来の待つ渋谷へと向かうのだった。 

あとがき

 「山+殺人=山岳サスペンス」と言うジャンルで、今回、私の処女作となる中編小説を書き下ろした訳だが、
本作品の舞台である北アルプス罚Ц哌B峰は、登山を趣味とする私にとって、お気に入りの山域だ。

 私は、槍ヶ岳から大喰岳(おおばみだけ)、中岳、南岳、そして、大キレットを経て、北罚Ц咴馈⒑詻g岳、奥罚Ц咴坤丐戎沥搿笜尫'縦走」、そして、奥罚Ц咴坤楗弗悭螗昆毳唷⑻旃筏晤^、間ノ岳(あいのだけ)、赤石岳を経て西罚Ц咴坤丐戎沥搿弗弗悭螗昆毳嘣饯ā工韦い氦欷饨U験している。双方とも通常は上高地をスタ趣贰尌鲈坤丐蠘寷g(やりさわ)経由で、罚Ц撙丐虾詻g経由で登るのが定番だが、私は本作品でも取り上げた新罚Ц撙椁违ⅴ抓愆‘チで制覇している。何故、上高地では無く、新罚Ц撙蜻xんだのかと言うと、こちらの方が行程を1日短縮出来るからだ。その時の経験を踏まえて、本作品の場面設定や描写をした。それ故、多少なり共、実況感や臨場感を描けたのではないかと思っている。

 山岳サスペンスだからと言って、単に山での殺人を描けば良いと言うものでは無い。都市の日常とは時間の流れ方がまるで摺ι饯蛭杼à摔筏郡坤堡扦稀ⅳ嗓Δ筏皮馕镎Zが単眨摔胜盲皮筏蓼Α¥饯旃省|京、松本、奥飛騨と言う、それぞれ性格の異なった場所も織り交ぜる事で、作品にスパイスを効かせてみた。

 又、一口に殺人事件と言っても、人が人を殺すに至る事情は単純では無い。そこには、やむにやまれぬ眩jな事情があり、テレビや映画のヒ愆‘物に代表される勧善懲悪(かんぜんちようあく)で描ける程、簡単では無い。何が善で、何が悪なのか? それは時として逆転する事も決して少なくない。正に『般若心経』説く所の「色即是空」、「空即是色」である。

 冒頭で書いた通り、本作品は私が発表する小説の処女作である。今後、本作品を読まれた読者諸氏の反響や感想次第によっては、第2作、第3作も発表していきたい、と考えている。

 最後に、読了頂いた読者諸氏に対し、心より感謝申し上げると共に、本作品を通じ、一人々々が何かしら感じ取って頂けたなら幸いである。

平成21年7月7日 


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